不倫の証拠がない場合の慰謝料請求に関するQ&A
Q不倫の証拠がなくても訴えられる場合はありますか?
A
結論から申し上げますと、法律上は、不倫(不貞行為)の証拠がなくても訴訟を提起して不倫慰謝料の請求をすることは可能です。
ただし、あくまでも請求ができるだけです。
一部の例外を除き、証拠がない状態で訴訟を提起しても、請求が認められることはありません。
民事訴訟のルール上、被告(不倫慰謝料請求のケースであれば、不倫をした側)が原告(不倫をされた側)の主張を認めた場合を除き、不倫慰謝料の発生原因(不貞行為)を、証拠によって証明しなければならないためです。
被告側として気を付けなければならない点としては、訴訟が提起された場合に放置してしまうと、証拠がなくても請求が認められてしまう(敗訴する)可能性があるということが挙げられます。
民事訴訟では、反論をしない場合には、原告の主張を認めた扱いになることがあるためです。
Q証拠がない場合に慰謝料を請求するデメリットは何ですか?
A
端的に申し上げれば、時間、労力、費用が無駄になる可能性が高いことです。
先述のとおり、証拠がないと、不倫慰謝料の支払いを求めて訴訟を提起しても基本的には支払いを受けられないためです。
不倫をした側としても、仮に訴訟に発展しても敗訴することがないといえる状況であるならば、話し合いにおいても支払いには応じないという判断をすることになります。
Q不貞行為がなくても慰謝料を請求することはできますか?
A
基本的には、不倫慰謝料は不貞行為(不倫をした配偶者と不倫相手との間の性的関係)があった場合に発生します。
もっとも、実際には不貞行為がなくても、客観的にみて不貞行為の存在を強く推測させる状況であれば、不倫慰謝料の請求が認められる可能性はあります。
例えば、交際関係にあり、頻繁にメッセージのやり取りなどをしている2人が一緒にホテルに入りはしたものの、実際には性行為を行っていなかったという場合です。
このような場合、客観的には不貞行為があったと考えるのが自然であることから、性行為が不可能であったというような特殊な事情が存在しない限り、不倫慰謝料の請求が認められる可能性があります。